<聖書の中のすごい人たち(2)>

 聖書の中には、すごい人がたくさん出てきます。
 昨日はノアさんについて考えましたが、今日はイエス様のお母さんであるマリヤさんについて考えてみましょう。
 聖母マリヤというと、クリスチャンでなくてもたくさんの人が知っていると思います。超有名人です。
 実は、このマリヤさんはとてもすごい人なんです。

 マリヤさんは、ヨセフという男性と婚約していました。
 やがて結婚して幸せな家庭を築くはずでした。
 ところが、ある時天使がマリヤさんのところにやってきました。
 そして、結婚前なのにも関わらず、あなたは男の子を産むと予告したのです。
 マリヤさんは、処女のまま、神様の不思議な力によって妊娠し、出産すると告げられたのです。

 結婚前に、妊娠し、出産するなんて、当時の社会ではあってはならないことでした。
 神様の力で妊娠したのだと人に説明したって、絶対に誰も信じてくれるはずがありません。
 婚約者がいたのに、誰か別の男と関係を持ったのだと、誰もが思うはずです。
 当時、このような結婚以外で性的な関係を持った場合には、死刑にされました。

 マリヤさんは、天使から、あなたは結婚前に妊娠してこどもを産むと予告された時に、上に書いたような悲惨なことが起こるだろうと、瞬間的にわかったはずです。
 もちろん、婚約者と結婚もできなくなるでしょう。それどころか、死刑にされて、命を失うことも覚悟しなければなりません。

 マリヤさんは、天使に向かって、こう言うこともできました。
 「私は、ヨセフさんと婚約していて、近いうちに結婚して、幸せな家庭を築くんです。
 私の幸せのじゃまをしないでください。
 結婚前に妊娠するなんて困ります。いやです。無理です。絶対やめてください。どうして私なんですか。誰かほかの女の人のところに行ってください。」

 でもマリヤさんはこう言ったのです。
 「私は主のはしため(召使い)です。お言葉どおりこの身になりますように。」

 こうして、マリヤさんは、イエス・キリストのお母さんになったのです。

 昨日のノアさんの例でもそうなのですが、私たちは聖書を読んで、ストーリーの続きの部分を知っています。
 だから、マリヤさんが天使から予告を受けても、素直に信じて、受け入れるのは当然だと思ってしまいます。簡単なことだと思ってしまいます。
 でも、マリヤさんは自分の命をかけて、天使の言葉を信じ、神様の計画に身を委ねる決断をしたのです。

 私たちは自分の幸せを手放して、自分の命を危険にさらすような決断が、マリヤさんのように自然にできるでしょうか。
 これができる人は、本当に少ないと思います。
 私が、マリヤさんの立場だったら、何とか言い訳をして、決断を先送り、先延ばしにして、何とか逃げようとすると思います。

 聖書の中には、すごい人がたくさんいて、生き方のいいお手本をたくさん残してくれています。
 聖書の記録は、簡潔にサラッと書いてあるので、「簡単。簡単。私だって、そんなふうに生きられるよ。」って思ってしまいがちではないでしょうか。
 でも、実際に私たちが同じ立場に立たされてみたら、そのような生き方をするのは、とてつもなく難しいんだと思います。