小松邦志ブログ

小松邦志がふだん考えているいろいろなことを順不同で書きます。  医学、医療のこと、旅行のこと、クリスチャンとして考えていること、趣味のこと、政治のことなどが主な話題になると思います。

カテゴリ: 本の紹介

<さいごに>

 「メディカル・サポート・コーチング入門」という本に書かれていることから、すべての人にとって役立つであろう部分を、紹介させていただきました。

 コーチングとは、コーチがクライアントと対話する中で、クライアントの本当の希望、願いを聞き出し、クライアントと共に実行可能な目標を設定し、それが実行されるようにフォローアップするというものです。

 コーチングをする上で、基本的な技能となるものが、コミュニケーションのスキルです。
 この、コミュニケーションのスキルの部分は、私にとって、とても役立つものでした。
 患者さんや御家族との対話においてはもちろん、家族との対話でも、そのほかの人との対話でも、とても有用でした。

 スキルというと、心が伴っていなくても、実行できるものではあります。
 たとえば、ペーシングとか、オウム返しとか。
 相手が悲しそうな話し方をしていたら、自分も悲しそうな口調でしゃべるとか、相手の言葉の一部をそのまま相手に投げ返すとかいうことは、別に心が伴っていなくてもできます。
 心が伴っていなくても、そのようなしゃべり方をすれば、相手は共感してもらったと感じてくれるのです。
 私は、もともと鈍感で、人の気持ちのわかりにくい人間です。
 たぶん、今でも、私のそんな性質は変わっていないと思います。
 でも、このようなコミュニケーションスキルが、それなりに身について、ふだんからいつも実践していると、周りの人は、私のことを、話を聞いてくれる人、共感する能力の高い人と勘違いしてくれるようになります。
 いつしか、自分でも自分のことを勘違いしかけています。
 私の本質は変わっていませんが、実際に、私という人間がそのように成長してきているのかも知れません。
 形から入れば、心がついてくるというふうにも言えるかも知れません。

 まだまだ、私も発展途上で、これらのコミュニケーションスキルが完全に身についているわけではありません。
 忘れてしまうこともあるので、時々見て思い出せるようにするためにも、このシリーズ記事を書きました。

 このシリーズ記事を読んでくださったあなたにとっても、これらの情報が、参考になり、人間関係を改善させ、あなた自身を成長させるものとなるなら、うれしく思います。

 よかったら、ご意見、ご感想、ご質問などのコメントをお寄せください。



<伝えるスキル(6)>
 〜〜一時停止〜〜

 コーチングでは、相手の話をさえぎらずに最後まで聴くのが基本です。
 ですが、コーチングでも、相手の話の途中で割って入り、話を中断させることがあります。
 どんな時にそうするかと言うと、明らかに相手が話すべきテーマから軌道をはずれ、だらだらと意味のない話に時間を費やしていると、コーチ側が判断した時です。
 たとえば、ただ単に時間を浪費しているだけの愚痴、行動を起こすことから逃避するための言い訳などです。
 時には愚痴を心の中から話すことで、気持ちが浄化されたり、癒やされたりすることがありますので、一概に愚痴を言い出したらだめというのではありません。
 これは直感に頼る部分も大きいのですが、聞いているあなたが、これ以上この話を続けていても、相手に何の益ももたらさないと感じた時に使います。

 「話の途中で失礼ですが、言い訳はここまでにしませんか。」
 「申し訳ないけれど、これ以上、愚痴を続けるのはやめましょう。」
といった具合に、ちょっと断りの枕詞を入れると、一時停止しやすくなります。

 シチュエーションや相手との親密度によってはストレートに
 「ねえ、もうそろそろ次に進んでいきませんか?」
 「ごめんなさい、この話題は、これ以上話しても無益だと思う」
と話を遮ってもいいでしょう。

 時間切れで、話を中断しないといけない時には
 「大変言いにくいのですが、今日は時間がこれ以上とれませんので、次回に聞かせていただけますか?」
 などのように言えるでしょう。

 こんな枕詞を使うと言いでしょう。
 「話の腰を折るようで、申し訳ないのですが、」
 「お話の途中で、すみませんが」

 一時停止をするのは、あくまでも相手のことを考えて、相手の益のためだということは心する必要はあります。



<伝えるスキル(5)>
 〜〜要望する〜〜

 コーチングとは、相手が自分自身の中から答えを見つけ出すためのサポートです。
 ですので、コーチ側からの意見やアイデアを強く勧めるは極力避けるのが基本です。
 ですが、日常の私たちのコミュニケーションにおいては、相手に何かを強く勧めたり、要望したりという場面があると思います。
 要望する時に、注意すべきポイントがいくつかあります。

 まず、これは要望であるということを伝えます。
 「私から一つ要望があります。」
 「これは、あくまでもこちらからの要望なんだけれど、」
 などのように、枕詞で明示します。

 要望する内容は簡潔に伝えます。
 この時、できるだけ「具体的な行動」を要望するように心がけます。
 たとえば、
 「これは私の要望なのですが、今週中にタバコを半分に減らしてもらいたいのです。やってもらえますか?」
 「一つ要望があります。その資料の作成をこの3日間で完成させてほしいのです。やってくれますか?」
 という感じです。

 「具体的な行動」とは、やったかどうか確認が可能である行動のことです。
 このような具体的な要望や提案をすると、相手が行動しやすいと言えます。
 コーチングでは、こちらから提案や要望をしても、それを受け入れるかどうかは、完全に相手の自由です。
 相手との対話の中で、提案や要望が全面的に受け入れられなくても、
 「ここまでならできる」
 「こんなふうになら可能だ」
 といったように、一部分だけ、もしくは少しアレンジして受け入れてくれるという場合もあります。

 相手が要望を受け入れた場合には、必ず、その行動の結果を確認する場を設けるようにします。
 要望しっぱなしではなく、その結果を報告する機会を設定しておくことが、行動の効果をさらに高めます。


<伝えるスキル(4)>
 〜〜枕詞(まくらことば)を使う〜〜

 「枕詞」とは、和歌や俳句に関わる用語です。
 ここで言う枕詞は、前置きと呼ばれるものと似たニュアンスで使われています。
 何かを相手に伝える際に、あらかじめ前置きをして、相手に、言ってもいいかどうか許可をとってから伝えるのです。
 何かの情報やアドバイスを伝える時、自分の意見を伝える時に用いると良いスキルです。
 特に言いにくいこと、相手にとって悪いことを伝える時に非常に役立ちます。

 たとえばこんな感じです。

 「あくまでも私の意見ですが、言ってもいいですか?」
 「ちょっとした情報があるのですが、聞いてもらえますか?」
 「参考までに私の体験を話してもいいかな?」
 「ちょっと言いにくいことですが、お話してもいいでしょうか?」
 「君にとっては耳が痛いことかも知れないんだけど、聞いてくれるかな?」

 相手に許可をとるという1ステップを入れることによって、
 相手は話を聞く準備ができます。
 ショックを和らげる効果もあります。
 つきはなされたと感じられることがなく、気づかってくれていると感じてもらいやすくなります。


 上記は許可を得る枕詞の例ですが、次のような軽い枕詞もあります。

 「これは私の意見なのですが」
 「参考までに聞いてもらいたいのですが、」
 「間違っているかも知れないのですが、」
 「多分ご存知のことだと思いますが、」
 「あくまでも一般的な話ですが、」

 このような枕詞に続いて伝えられると、伝えられる内容が受け止められやすくなります。
 高圧的に、一方的に、押し付けがましく話されると、私たちは、そんな話を聞きたくないし、従いたくないし、実行したくなくなります。
 でも、このような枕詞に続けて、ひかえめに話されると、穏やかな気持ちで相手の言葉を聞き、内容をよく考え、受け入れようとするものなのです。



<伝えるスキル(3)>
 〜〜強みを見つけて「承認する」〜〜

 の中で、対話を始めるにあたって、相手の心の扉を開くためのスキルとして「アイスブレイキング」を紹介しました。
 「アイスブレイキング」の一つとして「小さな承認」という項目があります。
 承認とは、相手の良いところを見つけて、相手を認めること、相手を積極的に評価すること、相手をほめることです。
 このように認められることで、悪い気分になる人はいません。

 相手を承認することによって、相手の意欲、やる気といったエネルギーが高まり、相手との信頼関係、友好関係を深めることができます。また会話を弾ませる促進剤ともなりえます。

 具体的には、相手の「強み」「良さ」「成果」「頑張り」などポジティブな面を見つけて承認していきます。
 前回紹介したIメッセージを使うとさらにうまく伝わります。

 会話の中で、「いいなあ」「すごいな」「すばらしい」などと相手のポジティブな面を感じた時には、素直に言葉に出して承認しましょう。
 ふだんから、相手に対してポジティブな好奇心を持ち、「良い変化」が起これば、すぐに気づけるといいですね。
 「温かな好奇心」が、コミュニケーションや人間関係を、素晴らしく変えていきます。



<伝えるスキル(2)>
 〜〜メッセージはI(アイ)で伝える〜〜

 たとえば、頑張っている人をほめるメッセージを伝える時、主語によって3種類の伝え方があります。

A 「あなたは頑張っていますね。」
B 「私は、あなたが頑張ってくれるので、とてもうれしいです。」
C 「私たちは、あなたが頑張ってくれるので、助かっています。」

 Aは「あなたは」が主語なのでYOUメッセージと呼びます。
 Bは「私は」が主語なので、Iメッセージと呼びます。
 Cは「私たちは」が主語なので、WEメッセージです。

 主語が違うと相手への伝わり方が違ってきます。

 一般にYOUメッセージは、「あなたは〇〇だ。」という言い方になるため、断定する、評価する、決めつけるといったニュアンスが強くなります。
 言われた相手にしてみると、お世辞に聞こえたり、皮肉に聞こえたり、下心があると感じられたり、誤解されているとか私のことをちっともわかっていないと感じられたりすることもあります。

 それに対してIメッセージは、「私は、〇〇によって、〇〇になった。(〇〇という影響を受けた)」という言い方です。
 私の中で起こったことを相手に話しているのですから、相手はその言葉を否定することができません。自分が評価されていると感じる余地がないのです。
 YOUメッセージと比べると控えめな言い方に聞こえるかも知れませんが、Iメッセージは意図したことが100%受け取られる安全な言い方です。

 WEメッセージは複数の人が主語になる言い方です。多数の人の意見ということになるので、慎重に使うほうがいい表現です。
 肯定的な内容を伝える場合はまだいいのですが、否定的な内容をこの言い方で伝えられるととてもダメージが大きくなります。「みんな、お前のことで迷惑している。」みたいな言い方です。


 ふだん、意識しないと私たちはYOUメッセージを使いがちだと思います。
 YOUメッセージが必ずしも悪いというわけではないのですが、ここぞという重要な場面では、Iメッセージによって、思いを伝えるといいと思います。



<伝えるスキル(1)>
 〜〜伝える際の心がまえ〜〜

 コーチングでは、問題の解決は相手自身が持っていると考えます。
 相手は自分の中に問題の解決方法を持っているのですが、それを自分でも気がついていない、もしくは無意識にか意識的にか封印してしまっていると考えます。
 コーチングでは「聴く」こと「質問する」ことによって、相手からそれを引き出していきます。
 答えは相手が持っているので、コーチングでは相手に教えたり、アドバイスしたりすることは原則的にはありません。

 しかし、私たちの日常的なコミュニケーションにおいては、相手にアドバイスをしたり、要望したり、何かを伝えるような場面が頻繁にあります。
 基本は「聴く」こと、「質問する」ことによって、相手の必要を知り、それにかなう情報を伝えることです。

 相手に何かを伝える時にはどのようにするのが効果的でしょうか。
 数回に分けて紹介します。



<質問するスキル(6)>
 〜〜塊をほぐす、塊を再構築する〜〜

 相手が話してくれた言葉のうしろには、いろいろな背景、事情、経緯があるはずです。
 また一言では語り尽くせないいろいろな思い、考えがあるはずです。
 そういったものを、オープン型質問を使って、少しずつ聞き出して、話してもらいます。
 そうして、相手の思い、考えをできるだけ具体的に知る過程を、「塊をほぐす」と表現します。

 例えば、相手が「最近とても調子がいいんですよ。」と言ったとします。
 「どんなふうに調子がいいのですか?」「何をする時そう感じるのですか?」「何かきっかけがあったのですか?」など、質問します。
 すると、相手は「朝すっと起きられるし、ごはんがおいしい。仕事にも集中できる。」「イライラしない。」「最近、大きい仕事をうまく完成させることができた。それで夜ふかしせず早く寝るようになった。それがきっかけかも知れない。」のように話が広がり深まっていくかも知れません。

 相手の思いや考えがわかってきたら、それをまとめて、相手に
 「これこれこういうことで、あなたはこのように感じておられるのですね。」と相手に投げ返します。
 相手から聴いたいろいろなことをまた一つにまとめることを「塊を再構築する」と表現します。

 先ほどの例では、
 「あなたは、今、夜ふかししないので、朝も快調で、仕事もはかどる。気分も穏やかという感じで調子がいいんですね。」と再構築して、相手に投げ返します。
 もし、自分の理解でちょっと違うという点があったりしたら、相手が訂正してくれて、より正しい理解に近づいていけるのです。


 では、オウム返しというスキルを説明しました。
 これは文の単位で、相手の言ったことを相手に投げ返すものです。
 オウム返しをされることで、相手は話を聴いてもらっていると感じることができます。

 今日の「塊をほぐす、再構築する。」というスキルはストーリーの単位でのオウム返しとも言えると思います。このような聴き方をされると、相手は、心から真剣に話を聴いてもらったと感じることができますし、相手の考え、思いを正確に理解することにつながります。これにより、より深い共感につながりますし、共に問題解決に向かって歩みだすことともなります。



<質問するスキル(5)>
 〜〜物事を主語にする〜〜

 過去型質問や否定型質問ではどうしても相手が責められていると感じてしまいがちです。
 相手が責められているという感じをできるだけ受けずに、リラックスして話をしやすくするためのテクニックとして、未来型質問や肯定型質問があるのですが、今回はもう一つ、物事を主語にするというテクニックを紹介します。

 「あなたは、なぜ〇〇しなかったの?」と相手(人)を主語にする代わりに
 「あなたが〇〇しなかった理由は何?」と理由を主語にするのです。

 「なぜうまくできなかったの?」と聞く代わりに
 「うまくできなかった原因は何?」と聞くわけです。

 「なぜ〇〇するの?」の代わりに
 「〇〇する目的は何?」と聞きます。


 人を主語にする代わりに、「理由」や「原因」や「目的」などの物事を主語にするのです。
 ちょっとしたことですが、こういう聞き方することで相手は自分が責められているとの印象を受けにくくなり、事態や自分のことを落ち着いて客観的にみることができるようになります。



<質問するスキル(4)>
 〜〜肯定型質問〜〜

 否定型の質問はこのようなものです。
 「どうしてうまくいかなかったのですか?」
 「なぜその問題が解決できなかったのか?」
 「なぜできないと思うのか?」

 これらを肯定型に言い換えるとこうなります。
 「どうしたらうまくいったのだろうか?」
 「その問題を解決するためには何が必要だったのだろうか?」
 「どうすればできるだろう?」
 
 否定型の質問を受けると、責められている、プレッシャーをかけられているという印象が生じやすくなります。
 答えもおのずと否定的な方向に向かってしまいます。
 「〇〇しないためには?」という発想では無難な安全策しか出ないでしょう。

 ですが、「〇〇するためには?」と聞かれると「こんな方法はどうかな」とか「こうやってみるといいかも」と広がりのある発想が生まれてきます。


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