小松邦志ブログ

小松邦志がふだん考えているいろいろなことを順不同で書きます。  医学、医療のこと、旅行のこと、クリスチャンとして考えていること、趣味のこと、政治のことなどが主な話題になると思います。

カテゴリ: 医学・医療

 ある人から、貧乏ゆすりって、腰痛や膝の痛みに効果があるのって質問されました。
 そんなこと、聞いたことがなかったので、ちょっと調べてみました。
 すると、貧乏ゆすりをすることによって、股関節や、膝の関節で、良い刺激となり、関節軟骨の再生が促されて、痛みが改善したり、機能が改善したりする効果が見られる場合があるらしいということがわかりました。
 おそらく、まだ、きちんとした臨床研究として、効果が確認されたわけではないのでしょうが、実際にその効果を示唆する症例がいくつもあるようです。

 貧乏ゆすりという、非常に関節に対して負担の少ない運動によって、そのような素晴らしい効果が得られるのなら、試してみる価値はおおありでしょうね。

 貧乏ゆすりによって、股関節や膝関節に良い効果がある可能性はかなり高いような気がします。
 それだけでなく、エコノミークラス症候群(正式には肺動脈血栓塞栓症)の予防、下肢の浮腫の改善の効果はおそらく確実にあるでしょう。
 下肢の血液循環が良くなることによって、冷え症も改善しそうです。

 けっこういろいろな効果が期待できる一方、副作用はほとんどなさそうです。
 貧乏ゆすりで何か悪いことがあるとしたら、見た目が悪いので、人から変に思われたりするぐらいでしょうか。

 膝の痛み、股関節の痛み、腰痛、下肢のむくみ、冷え症でお悩みの方がおられたら、ただでできて、リスクのほとんどない貧乏ゆすりを、だめもとで、しばらく試してみられてはいかがでしょうか。

 私の患者様にも勧めてみようと思っています。
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 今日は市立池田病院でアドバンス・ケア・プランニングについての勉強会がありました。
 タイトルは「患者さんとどのように話し合いますか?アドバンス・ケア・プランニング(ACP) の実践」。
 講師は神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科の木澤義之特命教授でした。
 ACP というのは、最近のわりとはやりの概念で、よく聞く言葉ではあるのですが、恥ずかしながら、私はあまり理解できていませんでした。
 今日の木澤先生のお話は、いろいろな具体的な失敗談、成功談をまじえたもので、とてもわかりやすいものでした。
 ACPとは、「患者・家族・医療従事者の話し合いを通じて、患者の価値観を明らかにし、これからの治療・ケアの目標や選好を明確にするプロセス」です。
 患者様の価値観が治療に反映されるようにということは、私もふだんから考えていることではあるので、ある程度は私はACPを実践しているとは言えます。
 ですが、今日のお話を聞いて勉強になった点がいくつかあります。

 ・家族など、代理決定者をしっかり決めて、その人にも一つの軸となってもらって、役割を果たしてもらった方がいいということ。

 ・ACPは、決まったパターンに基づいてすべての患者で進めていくものではなくて、患者様の気持ちや心の状態を見ながら、個別に、臨機応変に、進めていかなければならないこと。(下手なやり方だと、患者様や、ご家族を傷つけてしまって、かえってうまくいかなかったりする。)

 ・ACPは早すぎても遅すぎても良くない。

 そのほかにもいろいろ勉強になりました。
 今後の診療に取り入れていこうと思います。

認知症の人が劇的変化! “アイコンタクト”パワー全開SP(仮)
2018年10月24日(水)午後7時30分

 NHKのためしてガッテンという番組でユマニチュードが紹介されます。

2018/6/19 ユマニチュード入門
 の記事でユマニチュードについて簡単に紹介させていただきました。

 認知症が進んでくると、言葉の理解が難しくなってきます。
 どのようにしたら、そのような認知症の進んだ方に対して、「あなたは大切な人ですよ。」というメッセージを言葉を使わずに伝えることができるでしょうか。
 それを体系化したものがユマニチュードです。

 この番組では、ユマニチュードの4本柱の一つ、「見る」ということにしぼって紹介されるようです。
 ぜひご覧ください。

 ↓↓↓

認知症の人が劇的変化! “アイコンタクト”パワー全開SP(仮)
2018年10月24日(水)午後7時30分

2018/9/23 ピンピンコロリがお望みですか?(その1)
<ピンピンコロリが起こる病気の例>

2018/9/24 ピンピンコロリがお望みですか?(その2)
<ピンピンコロリは簡単には実現しない。>

2018/9/28 ピンピンコロリがお望みですか?(その3)
<がんで亡くなるということ(1)>

2018/9/29 ピンピンコロリがお望みですか?(その4)
<がんで亡くなるということ(2)>

2018/9/30 ピンピンコロリがお望みですか?(その5)
<こんな「ピンピンコロリ」はいかがですか。>

2018/10/1 ピンピンコロリがお望みですか?(その6)
<より良い「準ピンピンコロリ」となるために>

2018/10/3 ピンピンコロリがお望みですか?(その7)(完)
<まとめ>

<まとめ>

 ピンピンコロリをテーマとして、このシリーズを書き進めてきました。
 ピンピンコロリを望む人は多いのですが、元気だった人が突然亡くなるという、本物のピンピンコロリはあまり起こリません。
 また、本物のピンピンコロリは、残される家族にとっては、とてもつらい、迷惑な亡くなり方となることが多いです。

 日本人の3分の1はがんで亡くなります。
 最近亡くなった樹木希林さんの生き方を思い返してみてください。
 自分がやがて死ぬという現実を積極的に受け入れて、無駄にあらがおうとはせずに、残された時間を有意義に使おうとされていました。
 彼女は亡くなる直前まで、自分らしく生きることができて、自分らしく人生を全うすることができたのです。

 実は、彼女のような生き方は、ピンピンコロリを望む人の理想に近い亡くなり方、人生のしめくくり方なのではないかと思うのです。
 誰でも、彼女のように生きることができると思うのです。

 皆さんも、自分がどのように人生をしめくくるのがいいかということについて考えてみられてはいかがでしょうか。

 がんで亡くなるのは、多くの人が経験することではあるのですが、心の持ちようによっては、意外に悪くないものだということもお伝えしたいと思って、このシリーズを書きました。

(「ピンピンコロリがお望みですか?」 終わり)

<より良い「準ピンピンコロリ」となるために>

 (その5)で、がんの末期はピンピンコロリに準ずるような死に方のできる病気だと書きました。これを「準ピンピンコロリ」と呼ぶことにしましょう。
 より良い準ピンピンコロリになるために気をつけておいた方がいいポイントがいくつかあると思います。

 ・効果のあまり期待できない治療は受けない。

 (その3)で、がんに対する治療を続けていても、次第に効果が弱くなってくる場合があると書きました。
 医者は「この治療の効果が弱くなってきたので、次はこの治療を試してみましょう。」と勧めてくることでしょう。ですが、一般にあとから出てくる治療法は、先のものに優るものではないことが多いです。治療法がどんどん変わっていくような段階になってきたら、おそらく、もう有効な治療法はないんだろうなと考えてもいいかも知れません。
 患者さんにしてみたら、少しでも可能性があるのなら、それに挑戦したいと思うのは自然なことではあるでしょう。でも現代の医学は万能ではありません。残念ながら、治せない病気はたくさんあるのです。
 効果のあまり期待できない治療を受けると、貴重な時間やお金を浪費することになります。副作用のためにかえって食事がとれなくなったり、体力が落ちたりすることもあります。
 医者が勧めてくる治療法を断るのは勇気のいることでしょう。ですが、効果と副作用を自分でも冷静に天秤にかけて、自分のために賢明に決断しなければならない瞬間がやってくるかも知れません。
 人生の残された大切な期間を、自分のために、家族や親しい人のために使うという決断をするのです。


 ・最後の日々を過ごすのは病院よりも自宅がいい。

 自宅だと他の患者さんを気にすることもなく、病院の規則を気にすることもなく自由に自分のペースで過ごせます。面会時間の制約もありません。
 本人も家族もくつろいで過ごせます。
 病院にいると、頻繁に看護師などのスタッフが部屋にやってきます。だから安心とも言えるのですが、人生の最終段階の、親しい人と共に過ごすとても貴重な濃密な時間は医療スタッフに邪魔されたくないものです。


 ・十分な症状緩和が行われていること

 がんの末期では、各種のつらい症状が起こってくる場合があります。入院中であろうと、在宅療養中であろうと、それらの症状がきちんと緩和されていることはとても大切です。たとえば、強い痛みが続いているような状態では、痛みと戦うだけで自分のエネルギーを使い果たしてしまって、家族と落ち着いて話をすることもできません。穏やかに、和やかに過ごすことはとてもできません。
 在宅療養をするのであれば、訪問診療をしてくれるいい医者を見つけることは非常に重要です。24時間365日の対応をしてくれること、症状の緩和をきちんとしてくれることは当然必要な条件です。

<こんな「ピンピンコロリ」はいかがですか。>

 (その3)と(その4)でがんで亡くなる場合の平均的な経過についてご紹介しました。
 がんが進行してきても、亡くなる1〜3か月ぐらい前までは普通に生活できる場合が多いです。趣味や旅行を楽しんだりすることも普通にできます。
 余命が1〜3か月以内となってくると体力が落ちてきて、だんだんとできることが限られてきます。行動できる範囲が徐々に狭まり、人に助けてもらわないといけないような場面も少しずつ増えてきます。
 次第に食事がとれなくなってきて、衰弱が進んで、徐々に枯れるように最期を迎えるのです。

 (その2)では、ピンピンコロリを望む人が多くても、実際にはそれはほとんど実現しないと書きました。

 がんの末期は、ピンピンコロリとは少し違います。
 ですが、少なくとも亡くなる3か月前までは普通の生活ができて、その後、比較的急に体力が低下して最期を迎えるわけで、ピンピン元気だった方が、3か月ほどでコロリと亡くなるということであれば、けっこうピンピンコロリのイメージに近い亡くなり方だと思うのです。

 (その2)では、ピンピンコロリは遺族にとっては突然過ぎて、つらい別れだと書きました。
 ですが、がんの末期だと、症状が徐々に進みます。この先どんなふうに病状が進んでいくかとか、余命がどのくらいかとかについてはある程度予測できます。
 本人にとっても、家族にとっても、心の準備をする時間があるわけです。
 愛する人と死に別れるのは、本当につらい、苦しいことではあります。ですが、がんの末期であれば、その時までに互いに十分に気持ちを伝え合うことができます。準備をして、覚悟をすることができます。良いものを家族に最大限に残して去っていくことができます。自分で自分の人生の物語を思うように完成させることができるのです。
 がんの末期は、本人にとっても、家族にとっても、本物のピンピンコロリよりはずっといい亡くなり方ではないかと思うのです。

<がんで亡くなるということ(2)>

 平均的ながん患者さんの経過の続きです。

 がんになると次第に体力が落ちてくるわけですが、亡くなる1〜3か月ぐらい前までは仕事もできる場合が多いです。ふだん通りの生活もできることが多いです。最近亡くなった樹木希林さんの生き方を見られても、よくわかると思います。

 次第に食欲が低下しますが、亡くなる当日でも、ほんのわずかかも知れませんが、食べたり飲んだりできる場合もけっこうあります。

 がんの末期になると、痛み、息苦しさ、咳、はきけなどのつらい症状が起こることがあるのですが、緩和医療の進歩のおかげでこれらの症状はかなり和らぎます。症状がつらくて、夜眠れないというようなことは、きちんと緩和治療をしていれば、普通は起こりません。

 がんの末期で死期が迫っているような時でも、最後の最後まで意識がはっきりしていることが少なくないです。なので、愛する家族や親しい人といろいろな話ができます。大切なメッセージを残すこともできます。

 私が最近担当した在宅看取りをした患者さんです。
 60代の女性だったのですが、消化管の悪性腫瘍の末期の方でした。在宅で腹水を抜いたり、痛みに対してモルヒネの持続皮下注射を行ったりしました。痛みもなく穏やかに過ごされていました。亡くなる数時間前から、ご主人が夫婦の思い出の歌を歌ったりされていたそうです。奥さんはそれを笑顔で聞いておられ、時々歌をいっしょに口ずさんだりされました。やがて意識が遠のいて、呼吸が止まったそうです。まるで眠っているだけのように見える穏やかなお顔でした。

 がんと言うと、「死」を意味するこわい病気という意識が強いかも知れません。
 でも、上記のようながんの患者さんの最期の様子を読まれると、どう感じられますか。
 人は誰でもいつか最期を迎えます。誰でもいつかは死ぬということを考えると、私自身の死に方としては、がんという病気で死ぬのは、悪くない、いや、むしろ好ましいと思っています。

<がんで亡くなるということ(1)>

 大ざっぱに言うと、日本人の半分は一生のうちに一度はがんにかかり、日本人の3分の1はがんで亡くなります。

 私は尼崎医療生協病院の緩和ケア科で1年間勉強させていただきました。
 尼崎医療生協病院の周りには、当時二つの県立病院や関西ろうさい病院などの大きい病院がありました。大きい病院にはがんの患者さんもたくさんかかっています。これらの病院ではがんに対して、手術や抗癌剤治療や放射線治療などが行われます。

 がんにはいろいろな臓器由来のものがあり、患者さんの間の個人差も大きいのですが、平均的な患者さんの経過は以下のようなものです。
 がんと診断されて、手術、抗癌剤治療、放射線治療などの治療が行われます。最初のうちは治療によってがんは小さくなるのですが、次第に治療による効果が小さくなっていき、やがてがんは増大していきます。どんな治療をしても、がんは悪くなる一方という段階になると、大きい病院ではこれ以上の治療は意味がないということで、緩和ケア病棟に紹介されることとなります。

 緩和ケア病棟というところには、このようにがんの中でも最末期の患者さんが入ってこられるわけです。

 私が、緩和ケア病棟で働いていた時に気づいたこと、感じたことがいくつかあるわけですが、その一つは、がんは高齢者の病気であるということです。
 緩和ケア病棟に入院してこられる患者さんはたいてい70〜90代です。時には40代とか、50代のがんの末期の方も入院してこられるのですが、かなり少数派です。がんとは言っても、平均寿命以上に長生きされる方も多いのです。がんではあっても、天寿を全うされる方も多いということです。

<ピンピンコロリは簡単には実現しない。>

 昨日の記事で、ピンピンコロリとなる病気の例をいくつかあげました。

 ピンピンコロリを望むなら、これらの病気になるようにすればいいとも言えますが、実際にはピンピンコロリを目指しても、それを実現させるのはかなり難しいことです。

 高血圧、肥満、喫煙、高脂血症、糖尿病などがこれらの病気の危険因子ですので、危険因子をたくさん持てば、これらの病気になる可能性は高くなります。
 動脈硬化が進んで、心臓の発作や脳卒中が起こりやすくなります。
 ですが、心臓の発作や脳卒中が起こっても、実際にはそれでピンピンコロリとなる可能性は意外に低いのです。5% もないと思います。心臓の発作や脳卒中の方が20人おられたとしてもその中でピンピンコロリになってしまう方は1人もいないということです。
 たいていの場合は、救急車で病院に運ばれて、治療されて、一命をとりとめます。
 そして、体力が低下した状態となったり、障害が残った状態で、長く生きながらえることになります。
 この状態は、おそらく、ピンピンコロリを願う人にとって、最も避けたいようなものなのではないかと思います。


<ピンピンコロリは遺族にとってはつらい別れ>

 遺族にとっては、ピンピンコロリという別れはどんなものだと思われますか。

 90代の方がピンピンコロリされた場合は、苦しまずに逝けた。大往生だったと遺族は納得し、喜ばれることが多いかも知れません。
 ですが、例えば60代の方がピンピンコロリされたらどうでしょう。残された家族は非常に強いショックを受けることになります。
 別れのあいさつをすることもできず、お礼を言うこともできません。亡くなるとわかっていたら、もっとしたいことがあったのにとか、もっと話したいことがあったのにとか、たくさんの後悔が残ります。
 強い、深い悲しみが起こり、長い期間、立ち直れないかも知れません。心に深い傷が残り、一生消えないこともあるかも知れません。

 ピンピンコロリは突然過ぎます。
 何の心の準備をすることも、覚悟することもできません。
 亡くなる方にとってはいいのでしょうが、ピンピンコロリは遺族にとっては、ひときわつらい、苦しい、迷惑な別れということになる可能性が高いように思います。

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