<より良い「準ピンピンコロリ」となるために>

 (その5)で、がんの末期はピンピンコロリに準ずるような死に方のできる病気だと書きました。これを「準ピンピンコロリ」と呼ぶことにしましょう。
 より良い準ピンピンコロリになるために気をつけておいた方がいいポイントがいくつかあると思います。

 ・効果のあまり期待できない治療は受けない。

 (その3)で、がんに対する治療を続けていても、次第に効果が弱くなってくる場合があると書きました。
 医者は「この治療の効果が弱くなってきたので、次はこの治療を試してみましょう。」と勧めてくることでしょう。ですが、一般にあとから出てくる治療法は、先のものに優るものではないことが多いです。治療法がどんどん変わっていくような段階になってきたら、おそらく、もう有効な治療法はないんだろうなと考えてもいいかも知れません。
 患者さんにしてみたら、少しでも可能性があるのなら、それに挑戦したいと思うのは自然なことではあるでしょう。でも現代の医学は万能ではありません。残念ながら、治せない病気はたくさんあるのです。
 効果のあまり期待できない治療を受けると、貴重な時間やお金を浪費することになります。副作用のためにかえって食事がとれなくなったり、体力が落ちたりすることもあります。
 医者が勧めてくる治療法を断るのは勇気のいることでしょう。ですが、効果と副作用を自分でも冷静に天秤にかけて、自分のために賢明に決断しなければならない瞬間がやってくるかも知れません。
 人生の残された大切な期間を、自分のために、家族や親しい人のために使うという決断をするのです。


 ・最後の日々を過ごすのは病院よりも自宅がいい。

 自宅だと他の患者さんを気にすることもなく、病院の規則を気にすることもなく自由に自分のペースで過ごせます。面会時間の制約もありません。
 本人も家族もくつろいで過ごせます。
 病院にいると、頻繁に看護師などのスタッフが部屋にやってきます。だから安心とも言えるのですが、人生の最終段階の、親しい人と共に過ごすとても貴重な濃密な時間は医療スタッフに邪魔されたくないものです。


 ・十分な症状緩和が行われていること

 がんの末期では、各種のつらい症状が起こってくる場合があります。入院中であろうと、在宅療養中であろうと、それらの症状がきちんと緩和されていることはとても大切です。たとえば、強い痛みが続いているような状態では、痛みと戦うだけで自分のエネルギーを使い果たしてしまって、家族と落ち着いて話をすることもできません。穏やかに、和やかに過ごすことはとてもできません。
 在宅療養をするのであれば、訪問診療をしてくれるいい医者を見つけることは非常に重要です。24時間365日の対応をしてくれること、症状の緩和をきちんとしてくれることは当然必要な条件です。