<ピンピンコロリは簡単には実現しない。>

 昨日の記事で、ピンピンコロリとなる病気の例をいくつかあげました。

 ピンピンコロリを望むなら、これらの病気になるようにすればいいとも言えますが、実際にはピンピンコロリを目指しても、それを実現させるのはかなり難しいことです。

 高血圧、肥満、喫煙、高脂血症、糖尿病などがこれらの病気の危険因子ですので、危険因子をたくさん持てば、これらの病気になる可能性は高くなります。
 動脈硬化が進んで、心臓の発作や脳卒中が起こりやすくなります。
 ですが、心臓の発作や脳卒中が起こっても、実際にはそれでピンピンコロリとなる可能性は意外に低いのです。5% もないと思います。心臓の発作や脳卒中の方が20人おられたとしてもその中でピンピンコロリになってしまう方は1人もいないということです。
 たいていの場合は、救急車で病院に運ばれて、治療されて、一命をとりとめます。
 そして、体力が低下した状態となったり、障害が残った状態で、長く生きながらえることになります。
 この状態は、おそらく、ピンピンコロリを願う人にとって、最も避けたいようなものなのではないかと思います。


<ピンピンコロリは遺族にとってはつらい別れ>

 遺族にとっては、ピンピンコロリという別れはどんなものだと思われますか。

 90代の方がピンピンコロリされた場合は、苦しまずに逝けた。大往生だったと遺族は納得し、喜ばれることが多いかも知れません。
 ですが、例えば60代の方がピンピンコロリされたらどうでしょう。残された家族は非常に強いショックを受けることになります。
 別れのあいさつをすることもできず、お礼を言うこともできません。亡くなるとわかっていたら、もっとしたいことがあったのにとか、もっと話したいことがあったのにとか、たくさんの後悔が残ります。
 強い、深い悲しみが起こり、長い期間、立ち直れないかも知れません。心に深い傷が残り、一生消えないこともあるかも知れません。

 ピンピンコロリは突然過ぎます。
 何の心の準備をすることも、覚悟することもできません。
 亡くなる方にとってはいいのでしょうが、ピンピンコロリは遺族にとっては、ひときわつらい、苦しい、迷惑な別れということになる可能性が高いように思います。