今日は、「患者さまが自分の人生の主人公になることのできる医療とは(その2)」の続きです。
 今日でこのシリーズは終わります。
 患者様が自分の人生の主人公になるための方法を考えてみました。

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<NBM (narrative based medicine 物語に基づく医療)>
 narrative とは、患者の人生の物語のことです。narrative based medicine とは、患者それぞれが持っておられる物語にそって、それに基づいて、治療法を選択し、治療していこうとするものです。先ほど少し EBM について述べましたが、NBM はそれを発展させた概念と考えることができると思います。患者にはそれぞれ違った物語があり、価値観(大切にしているもの)があります。対等な関係の中で、それを十分に語っていただいて、それを最大限に尊重します。医師はその物語のより良い続きが紡がれていくように、医学的知識(evidence) を駆使しながら、患者にいろいろな選択肢を提示し、わかりやすく説明します。その上で患者に治療法を選択していただきます。その後も、患者に寄り添い、物語という視点で治療を修正し、継続していきます。このようにすれば、患者が自分の人生の主人公となる医療に近づいていけるのではないでしょうか。

<私の考える理想の医療>
 患者さんが自分の人生の主人公であることを医療スタッフが意識して、その人がどんな病気を持っていても、どんな障がいがあっても、その人らしく、生きがい、希望、喜びを持って過ごせるよう治療や援助ができたらいいと思います。
 どんな状態であっても、その人が一人の人間として尊重されること。そして、患者が家族など周りの人との関わりの中で、患者も人間として成長できるし、家族も、さらに関わるすべての人も成長できるようであったら素晴らしいですね。療養生活が暗く、つらい、さびしいものから、明るく、積極的なものになっていったらいいですね。どんな病気や障がいがあっても、人は輝いて生きていくことができるはずのものだと私は思います。

<結語>
 患者が自分の人生の主人公になることのできる医療について考察しました。
 医療スタッフが患者と対等であることを意識して、患者の物語、価値観を十分に聞き取り、それにそった治療を選択していただくことが一つの解決法と考えられます。

(完)